大臣在任中に鶏卵業者から計500万円の賄賂を受け取ったとして収賄罪に問われた元農林水産相・吉川貴盛被告(71)が8日、懲役2年6カ月執行猶予4年、追徴金500万円とした東京地裁判決について、控訴しないことを明らかにした。控訴期限は9日。
無罪を主張していた吉川元農水相は8日に出したコメントで、「判決が事実と異なる内容を認定したことには大いに不満が残る」と言及。そのうえで「私自身の体調も芳しくなく、これ以上、私の裁判のことで関係者に心配や迷惑をかけられない」として控訴断念を明らかにした。
5月26日の地裁判決によると、吉川元農水相は2018~19年、鶏卵大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の前代表=贈賄罪などで有罪確定=から、3回で計500万円を大臣室などで受け取った。
判決は検察側の主張をほぼ認め、国際機関の飼育基準案への反対や日本政策金融公庫の融資条件の緩和を求める趣旨を含む賄賂だと、吉川元農水相が認識していたと認定。現金受領は認めつつも「政治献金」と主張して賄賂性を否定した供述は「信用できない」と退け、「農水行政の公正さに悪影響を及ぼす悪質な行為だ」と指摘した。
吉川元農水相は判決後、「主張が受け入れられなかったのは誠に残念。判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントしていた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル